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ISSUE:3 LAST CONSUMER & 光速船
ISSUE:4 MASARU
良くも悪くも流行として取り上げられたVJは、2000年スタンダードになるだろう。
その渦中にいるDEVICEGIRLS(*)は、ムーブメントを牽引しているといっても良いだろう。かといって一言では、VJということで一括りにできないのもDEVICEGIRLSの魅力だ。
今回は、恵比寿ガーデンホールでカウントダウンを行い2000年への更なる思いをフロントマンともいえる和田氏に直撃した。
撮影 : 秦達夫
協力 : 某お好み屋(*)
DEVICEGIRLS
(デバイスガールズ)
97年多摩美術大学の2部に通う7人の学生和田一基、堀智紀、今井陵、伊藤信久、森岡大、春日康宣、木崎愛子で結成。アートシーンからVJまで幅広く活動。
http://www.mem.to/device/
某お好み屋
もし本誌がグルメ系雑誌であれば即退場であった知る人ぞ知るお好み屋。おなじクリエータという事で撮影の許可をいただいた。マスターありがとう。知りたい人は、ご一報ください(笑)。
アートインスタレーション
97年慶応大学SFC在学中の田中陽明氏主宰のアートイベント[flow]に映像で参加。
ラディッシュ
洋カブの事
FUSE
今まで何回か開催されているVJイヴェント、日本の一線で活躍するVJ 達がフューチャリングされる事で有名。次回は、3月上旬の予定。最近は、同名のVJソフトも販売された。
http://www.trance.com/fuse
VJソフト
Motiondive2、Composite station、LiQuid Effect、FuseなどVJに特化したPCベースのソフトウェア。ある意味VJを一般の人へ橋渡しをしたといっても良いだろう。
motion dive
composite station
LiQuidEffect
FUSE
MAX
discreet社製3DCGソフトウェア3D STUDIO MAXのこと。汎用性が高くユーザが急激に増えている。
http://www.discreet.com/
------ 猪蔵
評判良いですよね。VJといえば「DEVICE」というように代名詞的な所がありますよね。
------ WADA
それは、ちょっと避けたいですね(笑)。というよりもそれだけだと思われるのはちょっと困りますね。
僕らの始まりは、やはりアートインスタレーション(*)から始まっています。もちろん他にもいろいろと幅広くやっているのだけど、今は、VJのみがフューチャーされていますから。もちろんそれがあったからこそ今のDEVICEGIRLSという事になるので取り巻く状況、皆さんには感謝しています。
------ 猪蔵
ぼくは、DEVICEGIRLSが世の中に与えた意味っていろいろあると思うんです。アートとVJ(ここではお手軽な映像表現とでもいいましょうか?)との関係をわかりやすく紐解いたと思うのですよ。現代アートにしてもファインアートにしてもすごく閉鎖的、自己満足的。何をやっているのだろうかという疑問さえ抱かせない敷居の高さがあります。それをパフォーマンスをおこなう事によってすごくわかりやすくしてくれていると思うんですよ。
DEVICEGIRLSは、アートでもありVJもこなすスマートさ その2つの面を持っている感じがします。アートという切り口で見ても評価は高く、VJの若い子達からもリスペクトされているという。
------ WADA
実は、結構考えていて。2つは別物として考えています。
基本的にどちらをやるにしても一番打ち出されるのは、サービス精神なんです。もちろん自己満足ももちろんあります。アートインスタレーションでもアートインスタレーションをメインに考えている人たちと話し合って、どういうものが必要か? その空間でどういうポテンシャルを引き出せば良いのか?そのうえで、DEVICEGIRLSなりの答えを20%のっけて作品を120%にしてお返します。両方ともサービス精神がないと。これは何事にもいえるのですけど。
サービス精神といえば実は、予備校に通いながら、コックのバイトをやっていたことがあるんですね。シェフがラディッシュ(*)を毬みたいに刻んで飾り付けをするんですよ。それを見てやられましたね。人が動くのは、感動なんですね。これですぐ、イタリアンのレストランでバイトです。人を喜ばすという事は、料理人と良く似ていますし、はまりましたね(笑)。コックに。人を驚かす、喜ばすのが好きなのでしょうね。これがサービスという事だと思うんです。もちろん自分自身が楽しくなければいやなんですけど。「現場でおれら、一番楽しいよ」というのは自信を持っていえます。自らが楽しくないと遊びに来てる人も楽しくないでしょうから。そこを自己満足と履き違えてはいけないとこですけど。
基本的にクラブは、仕事でやる所ではないと思っているので楽しいという前提条件がなければVJは、やりませんね。仕事で引き受けると面白くないんですよねー。仕事なら仕事として、もちろん責任持ってやりますし自らで面白さ見つけちゃうんですけどね。
------ 猪蔵
FUSE(*)の時もDEVICEGIRLSの時に急に人が踊り始めましたね。コミュニケーションの取れているVJという感じがしましたよ。みんなが支持するの良く分かりますよ。DEVICEGIRLSといえば、ビデオ使用がメインと思うのですが、PCは現場でも使います?
------ WADA
あういう場所、ましてやステージだと後ろでマウスくりくりやっていても実際は、面白くないんですよ。もう絶対躍らせてやるという。現場でもリアルタイム主義なんです。
ただ最近は、僕らもPCを会場に持っていってますよ。VJソフト(*)は、家のマシンには入ってるぐらいですけど(笑)。普段製作に使っている機材を持ち込みます。実際に現場で撮ってキャプチャーしてその場で加工してしその場で再現します。一緒にやるパフォーマーが面白い動きをしていればその場サンプリングです。そんな使い方があったり、突然思い立ってその場で、作ったり。やはり便利は便利です。
2000年のカウントダウンの時もPC持ち込みましたよ。実は、ぼく体育会系も大丈夫なんですよ(笑)。スポーツのシーンでスローで流れたりすると、すぐ感動して泣いちゃうんですよ。それと一緒で表情が見えたりするとやはり伝わるじゃないですか。だからといって剣道とかで表情が見えないから感動しないというわけではないのですが、「痛そう」「辛そう」というのが見えるとやはり伝わりやすいんですよね。だから楽しい事をつたえるのは前に出て踊ってしまえというような行動になってしまうのでしょうね。
------ 猪蔵
今のブームを担っているVJソフトの隆盛についてはどうですか?
------ WADA
あれだけの流行の中で何かしらのものを一つ産み出したじゃないですかVJソフトって。これについてはすごいと思っています。実際に使う使わないとか、便利、そうじゃないのはもうこれはユーザの感性に尽きると思うのですよ。
おそらくソフトを開発している人もこういう風に使えと決めつけているとは思わないんですよ。ここまでお膳立てしておくから自分達で面白い事を試してくださいという事だと思うんです。要するにおもちゃを与えますから遊びなさいということですかね。それでみんなが遊び倒せば良いのですけど、右へ習えになってしますと、つらいですよね、ちょっとみて「あ、あれ、あのソフトだ。」って思うと面白くないですよね。見透かされる感じがあると辛いですね。最近若い子が平気で「MAX(*)買いました。」とかいうんですけど、ある意味すごいなと。これも同じで使うのではなくてソフトに使われてしまうと辛いですね。僕は全然使えないんですけど。(笑)
------ 猪蔵
最近のVJや映像を作る若い人たちへ何かあります?
------ WADA
映像というジャンルは、まだ確立していないのもあってカリスマ(笑)なVJにしろ映像作家という人を取りあげられる事は少ないじゃないですか。でもここがチャンスなんですよ。実は誰でもやればやっただけの事は返ってくると思うんですよ。さらにいうとデジタルに関しては、確立してない分お手本というか定番とされる古典というものは、自ずと存在しないわけですよね。絵画だと脈々と師匠から弟子へと継承していって何々派とか存在しています。そして名作が古典とかになるわけです。デジタルに関してもやった人全員が将来の古典になり得る訳です。デジタルは、日々進歩して、捨てられていくわけじゃないですか、今混沌としていますけど。繰り返しますけどチャンスなんですよ。僕らもそういう古典になりたいなと思っています。
------ 猪蔵
シェフ以外に影響受けた人います?
------ WADA
オカンですね(笑)ずーと飲み屋をやっていたんですけどね。ミュージシャンの人の溜まり場だったんですよ。それで休みの日とかスタジオで遊んでたりとか。映画もよく連れていってもらったし、本とかも良く買ってもらいました。これが大きいかもしれませんね。子供の頃は、音楽と同じぐらいテレビが金字塔でしたね。もちろん朝並んでガンプラも買いましたしラジコンもやりましたよ。結構一人で遊ぶのも多くて、その時に触れていた映画やテレビ、遊びは、リソースとなっていますね。漫画家とか映画監督になるとか、昔からなにか伝えるという傾向はあったみたいです。だから美大に行こうと思ったんですけどね。実は、大学入るまでマウス握った事なかったんですよ。
------ 猪蔵
これからのデバイスは、考えています?
------ WADA
そうなんですよ。2000年になっていろいろと…。メンバーとミーティングとかは、よくやりますよ。もう一回足元総点検、建て直しを考えています。勝負の前に整えましょうって感じですね。新しく運営母体を作って、これだけのスキル持ってますよとアピールしていこうかなと思っています。個人的には周りのメンバーのスキルに頼り過ぎてる部分があり過ぎたので自分のスキルアップにもドンドン力を入れていきたいですね。
僕は凄いメンバーと行動を共にできて恵まれていると思いますよ。今までDEVICEGIRLS、オヨバレが多かったんですよ。2000年からは、攻める動きを。こちらからもっとプレゼンしたりとか。将来的には、自分達でメディアを持ちたいという声が上がったんですよ。それは、雑誌だったり、番組だったり。カタチは分からないですがこちらから提供して行く方向にシフトチェンジしようと思っています。音、平面、なんでも。
DEVICEGIRLSは、始まりが映像でフューチャされましたけど、表現手段は、問わなくても良いと思うのです。メンバーももちろん平面や映像の一線で活躍している人間なのでそれも巻き込んで行ければと思っています。
------ 猪蔵
最近感動した事と、最後に一言ください。
------ WADA
やはり2000年のカウントダウンですかね。これは、2000年というプレミアムな時ということと、イヴェントでの事です。本当に大変でカウントダウンの時間にどうやって合そうか試行錯誤しました。当日は、3面画を利用して、時間の区切り区切りで真ん中の1画面にカウントダウンのカウンターが出てたんですめ。だんだんと2000年に近づくに連れて、暗転すると4000人近いお客さんがどよめくんですよ。自分達の作った映像で4000人近くの人間をカウントダウンしてくれるというのは、疲労感よりも充実感が勝ちましたからね。その場を与えてくれた人にはホント感謝したいです。
今年は、こっちから攻めます。攻めるDEVICEGIRLS、ロールアウトです(笑)。デバイスはたくさんの人と知り会えたおかげで、なんとかここまでこれたって感じです。なので皆さんもたくさん人と知り会って下さい。そしてあとは、遊び倒す事ですかね。